ビジュアルアストロロジーとは、イギリスで活動している占星術研究家ベルナデッド・ブレイディが提唱する、惑星だけでなく恒星をはじめとした、全天を扱う占星術。古代エジプトから現代の心理占星術も踏まえた、古くて新しい占星術です。
全64種の恒星を11のカテゴリに分けて、そのグループの星たちが紡ぐ物語にスポットを当てる本連載。第6回は「知識/学び」グループに属する星の後編です。この星たちとパランする(深い関わりを持つ)人は、どんな使命を持っている?
チャンドラケイさんにナビゲートしていただきます。
チャンドラケイ
牡羊座。心理占星術、ビジュアルアストロロジー/恒星パラン、タロット等。2017年より占星術の指導をはじめ、心理占星術研究家石塚隆一氏と共に「大倉山占星術研究会」を立ち上げ、同研究会にて講座など企画運営。ブレイディ&ガンズバーグ提唱のビジュアルアストロロジーを学び、心理占星術と結びつけるべく研究中。 https://www.gabriel-no-rappa.com/
〇そもそもビジュアルアストロロジーって?
第0回「“ビジュアルアストロロジー”連載開始記念インタビュー」は、こちら!
〇あなたと特別な契約を交わしてきた星の算出法はこちら!
第1回「あなたが星々と交わしてきた特別な“契約”とは?」は、こちら!
〇各星の詳しい解説
第2回 「名声/成功のグループの星たち」は、こちら!
第3回 「犠牲」のグループの星たち」は、こちら!
第4回 「喜び/幸福」のグループの星たち」は、こちら!
第5回 「知識/学び」のグループの星たち」は、こちら!
「知識/学び」のグループの星たち
ビジュアルアストロロジーで使用する恒星は全64種!(星雲、星団含む)
64種類もあるとなると、どこから取りかかればいいか迷うこともあるのではないでしょうか。ブレイディは64種類の恒星の働きを鑑みて、11のグループにカテゴライズすることを提案しています。通常の占星術で12サインをエレメントやモードに振り分けて考えるように、恒星をグループ分けすることにより、それぞれの恒星のエッセンスをざっくりつかむことができます。そのうえで、各恒星を掘り下げると理解がより深まるでしょう。
ブレイディによる恒星の11グループ
1.名声/成功
2.犠牲
3.喜び/幸福
4.知識/学び
5.尊厳
6.信頼性
7.使命感
8.神秘主義/洞察力
9.困難/重圧
10.権力/世俗世界
11.冒険
「知識/学び」のグル―プに属する恒星は全9種と大変多いので、前編・後編の2回に分けてお届けします。
今回は後編、4種の恒星たちにフォーカスします。
まずは東京の春の夜空の景色より、乙女座(スピカ、ビンデミアトリックス)です。
続いて冬の星座より、双子座(カストル、ポルックス)です。ちょうど今の季節、夜空を見上げると仲良く並んだ二つの星が良く見えます。
続いてケンタウルス座です。夏の夜、東京ではケンタウルス座は地平線付近にあり全体の姿は目視できません。沖縄以南では全体像を見ることができます。
「知識/学び」のグループ
学ぶこと、教えること、知識や智慧を深めること、知的探求への飽くなき欲求。「知識/学び」のグル―プに属する星たちは、積み重ねた知識を活動の基盤とし社会に貢献するエネルギーに満ちています。例えば深めた学びを人々に教え、導くこと。あるいは様々なアイデアを生み出し問題解決を図ること。新たな哲学を打ち出すためには既存の考えを破壊することさえ厭わない……というようにラディカルなエネルギーを伴う恒星も。各恒星たちはパランする天体と混ざり合いながら、それぞれのアプローチで知識を洗練し、活動のスケールや世界観をより拡大していくことになるでしょう。ブレイディが振り分けた11グループの中で「知識/学び」のグル―プに属する恒星は全9種、もっとも多くの恒星が集まるグループになります。
スピカ(乙女座)
- 位置:乙女が左手に持つ麦の穂
- キーワード:天賦の才能
乙女座の「乙女」はギリシア神話では春をもたらす花の女神ペルセフォネ―、聖母マリアと同一視されることも。エジプト神話ではオシリスの妻イシス女神とされています。イシスが神から授かったギフト(才能)は、人類が知るべき智慧や深い洞察に通じるものです。スピカは春の夜空でひと際目立つ一等星。真珠のような高貴な輝きを放つと同時に強烈な影響力をも持つ星です。
この星とのパランがあると…
スピカはパランする天体に輝きを与えます。天体が示す領域において通常の範囲を超えた豊かな才能、卓越した技術、知性、洞察力が強調されるでしょう。
例)太陽&金星とパラン…ジャクリーン・K・オナシス
火星とパラン…忌野清志郎、JKローリング(ハリーポッターの作者)
ビンデミアトリックス(乙女座)
- 位置:乙女の右手
- キーワード:収集する
ビンデミアトリックスの語源はギリシア語で「ぶどうを摘み取る者」という意味。土を耕し、種をまき、水をやり、害虫や天災に気を配りながら丁寧に育てたぶどうの実。たわわに実った実を丁寧に収穫すること。熟して実が地に落ちる前に意図的に摘み取って行きます。乙女座の女神がぶどうを摘み取る背景には、長い時間と努力の積み重ねがあります。ぶどうを収穫するという姿勢には、たくさんの情報を収集する、コレクションする、人を集める……など、さまざまな意味が込められているのです。
この星とのパランがあると…
ビンデミアトリックスは関わる天体に、時間をかけて育んだものを収集するエネルギーを注ぎ込みます。その場合、積極的ではあるものの天体に力を押し付けることはなく、あくまで穏やかで平和的なアプローチをとることになるでしょう。
例)木星とパラン…ビアトリクス・ポター(ピーターラビットの作者、研究者)
土星とパラン…コナン・ドイル(シャーロックホームズの作者)
カストル(双子座)
- 位置:左側の人の頭
- キーワード:物語の語り部
大神ゼウスとスパルタ王妃レダの間に卵で生まれた仲良しの双子の兄弟、カストルとポルックス。カストルは人間の子、有限の命の持ち主でした。ある時、流れ矢に当たりカストルは命を落としますが、死の直前まで迷いなく、のびのびとした明るい思考に満ちていました。幸福なままに亡くなったシンボルがカストルです。恒星の双子座は宇宙の極と極の混ざり合いを意味しています。陽と陰、プラスとマイナス、善と悪、白と黒……この世界にはさまざまな極性が存在しますが、これらが混ざり合う過程では葛藤や摩擦が起こります。状況を改善するために、この異なる極性をいかに混ぜ合わせ、変化させるか……というのが双子座のテーマです。
この星とのパランがあると…
カストルは極性においてポジティブな極を支配する星です。エネルギーを変化させ「物語」を生み出す人。パランする天体に物事や状況の明るい側面を見て、望むままにアイデアを探求し、自由に自己表現する力を注ぎ込みます。
例)木星とパラン…キング牧師、ルイス・キャロル
金星とパラン…スティーブ・ジョブズ
太陽とパラン…坂本龍馬、ジョン・レノン(金星、土星もパラン)
ポルックス(双子座)
- 位置:右側の人の頭
- キーワード:痛みを伴う洞察
ポルックスは神の子、永遠の命の持ち主です。カストルの死を嘆き悲しんだポルックスは、自らの永遠の命をカストルと分かち合いたいとゼウスに直談判しました。ポルックスの熱意に打たれたゼウスは願いを聞き入れ、二人を天に上げて星座にしました。双子座のカストルもポルックスも相反するものを認識し融合させるテーマを持ちますが、アプローチの仕方はそれぞれ異なります。ポルックスは異なる極性を混ぜ合わせる際に生じる苦悩を象徴する星。物事の隠された側面を意識し、問題解決を試みます。
この星とのパランがあると…
ポルックスは物事や状況の影の部分を意識し、洞察し、問題となる側面からアプローチするエネルギーをパランする天体に注ぎ込みます。
例)火星とパラン…ボブ・マーリー、グレン・グールド
水星とパラン…マハトマ・ガンジー、フジコ・ヘミング
トリマン(ケンタウルス座)
- 位置:ケイローンの前足
- キーワード:教師
ケンタウルス座はギリシア神話の賢者ケイローンがモデルです。ケンタウロス族は野蛮で暴力的な種族とされますが、ケイローンはその中で異色の才を放つ賢者。ケイローンは太陽の神アポロンと月の女神アルテミスから音楽、医学、占星術、予言、馬術、狩猟等を仕込まれ、人格的にも優れた立派な教師となりました。ケイローンの足もとにあるトリマンは、教育や高度な学びに関わる事象にリンクします。教師として教え導き、個人や集団の世界観を広げ発展させるエネルギーの象徴です。
この星とのパランがあると…
トリマンはパランする天体の世界観を広げ、天体が象徴する分野に学びや教育のエネルギーを注ぎ込み、教育を通じて個人あるいは集団の問題を癒すための準備を行います。
例)水星とパラン…ネルソン・マンデラ
月とパラン…毛沢東
火星とパラン…バラク・オバマ